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相互支援組織の作り方
第16回
TS(トータル・サティスファクション)−理想の企業活動−
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■CSがらTSへ−すべてに価値・感動を提供する企業

 企業活動が、社員とその家族、顧客およびその周囲の人々、さらに地域社会、日本、地球など、すべてに対して価値・感動を与えるものでなければならないという考え方を、TS(トータル・サティスファクション)という。企業が成長することによって、何らかの不利益を被る人が、現在のみならず将来的にもあってはならないという考え方である。
  CS(カスタマーズ・サティスファクション、顧客満足)がいま目の前にいる顧客に感動を与えることを目的としているのに対して、TSはすべての人々を将来にわたっても幸せにすることを目的にした考え方である。CSによって顧客に価値を提供することができても、それによって不利益を被る人がいたり、地球環境に悪影響を与えてしまうことがある。一部の大口顧客を優遇するために、それ以外の小口の顧客に不利益を与えたり、生活を便利にするモノをつくるために工場から環境に有害な物質をたれ流したりする。これらのように、いくらCSだからと言っても、一部の顧客の満足のためにその周りの人々や社会に迷惑をかけることがあるというのは好ましいことではない。
  これらのような問題をトータルに解決するための考え方がTSである。TSは、あらかじめ事業の存在価値をあらゆる視点から検討して、すべての領域、すべての対象者にとって最善の事業を目指そうとするものである。
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■すべての人々を幸せにする工務店−家を建てることで地城に貢献する

工務店の仕事は、特定の顧客のために、その周りの住民に迷惑をかけることがよくある。それでもこれまでは、家を建てるんだから多少の迷惑は仕方がない、とほとんど対処されてこなかった。しかしTSによって、これからの工務店は家を建てることによって、近隣の人々まで価値・感動を提供することも可能になる。
  これまでの仕事の進め方では、家を建てるためには、その建築期間中は近隣の住民にさまざまな迷惑をかけざるをえなかった。たとえぱ、工事の関係者が車で来て建築現場の近隣に違法駐車をする。これは地元の人にとっては迷惑である。つまり、駐車違反という迷惑をかけるから迷惑になるのである。そこで、近くに駐車場を契約して工事期間中はそこに駐車して現場監督が送り迎えをすれば問題を解消することができる。
  また、さまざまな工事関係者が入れ替わり町にやってくる。見ず知らずの人たちが町にあふれているのは何となく不安である。しかし、それもその人たちのことを知らないから不安になるのであって、教えてしまえば不安はなくなるだろう。たとえぱ、工事現場の前に看板を立てて写真付きでその日町にやってくる人を紹介すれぱよい。
  さらに家が建つということは、近所の人々にとっては家づくりの勉強をする良い機会になる。たとえぱ休日などを利用して、近隣の方々向けに無料の勉強会を開催する。つまり、家の土台ができたときに、近所に次のようなチラシを配る。
  「地震に強い土台の無料勉強会−あなたの家は震度6の地震に耐えられますか」
  また、家の枠組みができたときには、次のようなチラシを配る。
  「誰でも簡単にわかる手抜き工事の見抜き方勉強会−あなたの家は手抜き工事じゃありませんよね」
  さらにまた、工事現場では廃材が出てくるわけだから、それらを活用して次のような企画もできる。
  「お父さんと子供のためのガーデニング・グッズ作成一日教室−プロの大工がプロの技を教えます」
  このように、一軒の家が建つことによって、近所の家族のきずなを強くするきっかけになることもできるのである。
  そしてこんな企画までできるかもしれない。
  「あなたも家づくりに参加しませんか」
  これは参加者が殺到するようであれば、有料で開催してその利益はまた地元のために還元することも良いだろう。そして、最後には家一軒を地元の人が子供たちと一緒にコミュニティ活動として建築することもありうる。
  東南アジアのある地域では、その村の中心に造る寺院をその村の人々が全員で協力してつくるという。家づくりは仲間づくりとなり、その地域の最も楽しいお祭りになってもよいのではないだろうか。
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■TSで事業の二面性を解決する−根本から考え直す

TSは経営における二面性を解決し、それによってバランスを取るということが必要なくなる。
  企業が利益追求を目的とする場合、その反対に社会に迷惑をかけることがある。そんなときは利益追求のやりすぎは良くないこととして倫理が求められるようになる。たとえば営業で顧客のことを顧みずに深夜に訪問販売をすることなどは、企業の利益を追求することによって起こる問題であり、自粛しなけれぱならないことである。
  このような二面性が起きることによって、バランスが要求されるわけである。しかし、このような問題はその根本から考え直すことによって解決することができる。企業活動の目的を「社会に価値・感動を提供すること」「お客様に役に立つこと」にすれば問題は起こらなくなるばかりか、お客様から信頼され、結果として大きな利益につながるだろう。
  また、建設省によると、道路工事によって近隣の方々に騒音・振動と交通渋滞などで迷惑をかけることは仕方がないことだそうである。しかしこれらの問題も、100万通りの知恵を出して解決しようとしていないだけだ。つまり、あきらめたからこそ公共性と地域住民への迷惑との二面性が起きているだけなのである。
  このような二面性を解決するためには、たとえば騒音や振動の問題については建設省が次のような発表をするとよいだろう。
  「騒音と振動が一切しないような道路工事用の機械を開発したメーカーからは最優先で価格を問わず購入します。またベンチャー企業などでこのような機械の開発にチャレンジしようとするところには必要なだけの助成金を配布いたします」
  また交通渋滞については地元の警察と連携して対処する。場合によっては一定期間に限って交通規制を変更して対応するようにする。
  さらに、これらに先立って近隣の住民の意識および健康調査をしておく。そして定期的に訪問をしたり、騒音によって健康障害の出るような方々には、それなりのへルスケアを実施する。
  また、工事期間中は地域犯罪の防止のために工事関係者が常に近所を見回ることもできる。体の不自由な一人住まいの老人の安否を確認する定期巡回なども可能だ。
  このように考えていけば、道路工事をすることによって迷惑をかけるどころか感謝されることだって可能なはずである。考えれば考えただけ知恵は無限に出てくる。人は無限の知恵を出すことができるのである。そしてその知恵によって仕事の価値を無限に高めようというのがTSである。
  知恵は無限の経営資源である。
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■TSの二大ポイント−問題解決と価値創造

TSのポイントは大きく二つある。
  まず第一のポイントは起こりうる問題をすべて解消することである。問題がまったく起こらない事業であることがベストであるが、実際のビジネスで問題やクレームがないビジネスなどはない。問題が起こることが問題なのではなく、問題に対してどのような姿勢で臨むのかが本当の問題なのである。
  また、問題は大きく二つに分けて考えることができる。一つはあらかじめ想定される問題である。これは考えれば考えるほどたくさん見つかるだろう。もう一つは、不測の事態である。つまり、あらかじめ想定できなかった問題である。どんなに万全を期しても、必ずと言っていいほど予測し得なかった問題が起こるものである。
  どちらの問題に対しても全力を尽くして解決することである。解決できるかできないかではなく、解決するまで取り組み続ける姿勢を持たなければならない。無限の知恵を出し続ければ、解決できない問題はない。TSに「不可能」とか「あきらめる」という概念はなく、その実現のためには、すべての問題を乗り越えていくことができると考える必要がある。
  そして第二のポイントは、より高い価値・大きな感動を提供することである。
  今日売れている商品が明日も売れるとは限らないし、いま成長している企業が来年も成長するとは限らない。今日の価値は明日の価値とは限らず、そして明日の価値は今日創るものである。
  ここで言う価値とは、間接的、精神的な価値をも含めて幅広く考えていくことがたいせつである。家を建てることを地域のコミュニティ活動につなげたり、道路工事とともに地域の福祉活動や防犯活動をするといったように、価値のあり方を多面的、複合的に考えていくことで、いままでにない新たな価値を無限に生み出していくことができるようになるだろう。まさに一石二鳥、三鳥となるような知恵を出していくことである。
  価値の追求においても、ここまでやれば十分というレベルはない。顧客や社会は常により高い価値、大きな感動を求めてくるものである。つまり、TSとは考え行動し続けるという姿勢なのである。
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■TSの四つのテーマ−社員の家族から未来の人類まで

では、TSの対象について以下にまとめてみよう。TSの対象は基本的に他のものすべてであるが、それらは以下の四つに分けて考えることができる。
・第一 社員およびその家族
・第二 顧客および準顧客(顧客の周りの人々)・第三地域社会(企業活動の基盤たる)
・第四 日本、世界、地球、人類
  TSでは社員・スタッフおよびその家族が第一の対象者である。この第一の対象者が「幸せ」でなければ、第二、第三、第四の対象者に価値・感動を提供することはできないと考える。もちろん、ここで言う社員・スタッフの「幸せ」とは安楽に生きることではなく、充実した日々を送ることである。
  企業が社会に貢献する明確なビジョンとポリシーを持ち、社員・スタッフ一人ひとりは企業のビジョンの共感者として、その達成に向けて働くことで日々充実感を味わうことができるようになる。そして、自分が努力をしたことで他人を感動させ、感謝されることで、自分自身が最も大きな感動を得ることができる。誰にも迷惑をかけることがなく、すべての人々から感謝されることは、仕事に対するモティベーションを極限にまで高めるだろう。
  それは一人ひとりが自立型の姿勢で物事に取り組むことであり、相互支援型の組織である。
  さらに企業が社会に貢献するほどその存在価値は高くなり、社員・スタッフだけではなく、その家族までもその企業で働いていることを誇りに思うことができるようになる。
  第二の対象者は顧客およぴ準顧客である。顧客に対するTSとは顧客を感動させ続けることである。そして感動させ続けるためには、常に顧客の想像を超えた商品・サービスを提供することが必要となり、常に改善向上していくことが求められる。
  そしてここで特にたいせつなことは準顧客、つまり顧客の周りの人々に対するTSである。目の前にいる顧客以上に、その顧客の周りの人々にも価値と感動を提供することである。
  たとえばアパート建築を事業とする工務店では、これまで顧客は土地を有効活用したいと思っている土地所有者と思われてきた。だからこそ工務店は、土地所有者が喜ぶような建築物の提案をした。しかし本当に所有者が喜ぶのは、アパートであればいつでも入居者がいっぱい、つまり入居率が100%になることである。であれば本当に喜んでいただくべきはアパートの入居者であり、アパートの入居者が喜べぱ、入居率は限りなく100%に近づいて土地所有者も喜ぶことになる。このように、アパート建築では、準顧客である入居者にいかに喜んでもらえるのかが重要となる。
  顧客の周りにいる準顧客にいかに価値・感動を提供していくかはとてもたいせつなテーマである。直接の顧客以上にその周りの間接的な人々に価値・感動を提供していく努力を借しんではならない。
  第三は企業の活動基盤たる地域社会に対するTSである。企業活動が直接的であれ、間接的であれ、地域社会に貢献するものでなければならない。そのためにも、企業活動の目的であるビジョンと、企業活動の基本行動原則であるポリシーを明確にして企業活動を行うことが求められる。
  さらに積極的に企業の利益の一部を地域社会に還元したり、企業活動の一つとして地域のボランティア活動を社員・スタッフで行うと言ったことも検討すべきである。安全、平和などに企業活動が貢献してもよいだろう。たとえば道路工事をしながら地域の防犯や一人住まいのお年寄りへの見回りなどもできるはずである。企業活動の拠点である地域から尊敬されるような会社であってこそ、一流本物の企業である。
  第四に日本、世界、地球、人類にとって、企業活動が価値あるものでなければならない。
  消費する社会から、活用、循環する社会へと企業の社会への関わり方は大きく変化してきている。地球環境にわずかでも有害なものを排出する可能性のあるものは極力生産しないようにするべきである。やむをえず生産する場合には、その回収を100%できるシステムを作り上げてから生産しなければならない。つまり、ゴミにするのではなく資源として再利用する。
  また、時間とともに価値を増すモノをつくる。企業活動が単に生活を維持するためのものではなく、人類の文化を継承、創造していくことができれば素晴らしいことである。
  この第四の対象は人類がこれから最も知恵を出していかなければならない重要な対象である。

 TSとは一言でいえば、他のすべての存在に対して貢献することである。すべての人々を幸せにすることができれば企業社会は健全に発展していくはずであり、そうではなく自社の利益だけを追求するのであるならば、企業社会は崩壊していかざるを得ないからだ。

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