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自立型姿勢
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相互支援組織の作り方
第15回
自立相互支援型企業のシステム(2)
−自立と相互支援を促進する方法−
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■意識の共有化−言葉を共有化して、共感者集団をつくる

 意識の共有化とは、ビジョンの達成のために自立の姿勢を共有することである。そのためにはまず、言葉を共有化することが必要となる。
  同じ言葉であったとしても、そもそもその意味は、人によって多少なりとも違っているものである。そのために同じ行動をとるはずのものが、人によってまったく違う行動をとってしまうこともある。
  こんな珍事が起きることがある。
  ある上司が研修で自己責任が大切だと聞いて、そのとおりだと思い、自分の職場に帰ってから、「みんな自己責任で考えるようにしなさい!」と言った。
  この上司は、部下に自己責任を強制することが他者責任であることに気づかず、まったく正反対の行動を取ってしまったのである。自己責任で考えるならば、「何か問題が起こっても、それはすべて私の責任だ」と言うべきだったのだ。
  また、「お客様のためになることを考えよう」というスローガンを掲げたところ、クレームを言ってきたお客様に対して、ある営業マンは「それはあなたの使い方が悪いからです。もっと説明書をよく読んでから使うようにしないと、何を買っても壊してしまいますよ!」とたしなめてしまった。
  その営業マンに言わせれば、お客様が自分で問題を解決できるようにさせなければ本当にお客様自身のためにならないのではないか、ということだった。このように、「お客様のためになること」が人によってさまざまに解釈されてしまうのである。
  一つの言葉であっても、その意味については、人によって多少違った理解をしているのが普通である。ところが、まったく違った理解をしていると、一人ひとりバラバラの行動をとったり、コミュニケーションにとても多くの時間と労力がかかったりすることもある。よく、議論をしていて、二人の人間がまったく同じ内容のことを、違う表現で主張し合っていることがあるのも、こうした言葉の意味の違いが原因になっている。
  このような問題を解決するためには、あらかじめ言葉の意味を一つひとつ正確に共有化しておかなければならない。具体的な事例を掲げてわかりやすく説明したり、共有化すべき言葉の意味を図や絵を使って誰にでもわかるように解説したマニュアルを作成することが必要である。「ここまでやらなくてもわかっているのでは」というくらい詳細にわたって一つひとつの言葉を解説、マニュアル化してちょうどよいくらいになるだろう。そしてOJTの中では、一つひとつの行動を言葉の意味に基づいて日々指導することが必要である。
  言葉の共有化の問題は、多国籍の人材が多い海外の企業では、大きなテーマとしてその解決のための努力がなされてきたが、単一民族であるわが園においては言葉は共有化されているはずだという前提でことが進んでしまうために、これまではあまり重視されてこなかった。しかし、企業の中で共に活動するためには、もう一度仕事の現場で使われる言葉の意味を一つひとつ明確化して共有化する必要がある。
  なお、本誌の毎月二○日号に連載中の「新経営用語辞典」で、経営上使われる言葉の意味について私なりに解説しているので、参照していただければ幸いである。
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■コンセンサス研修のすすめ−唯一の目的は社員の意欲を高めること

 コンセンサス研修とは、わかりやすく言えばやる気にさせる、つまり意欲を高めるための研修である。それはビジョンの共有化とポリシーの確認、それにいかにまだ自分が自立していないかを確認することを目的とした研修である。
  個人の能力を高めるスキルアップ研修はできる限り個人の自由意思に任せて、企業はそのための環境的支援をするだけにしたほうがよい。つまり、自発性をすべての前提として自由選択式のさまざまな講座を用意したり、大学などで学ぴたい人には金銭的、時間的な支援をすることである。
  企業の研修の目的として最も重要なことは個人の自発性を喚起することである。人は意欲が高くなるほど自発的に勉強するものであり、反対に自発性の伴わない教育はどれほど強制的にやったとしてもまったく効果はないからだ。
  コンセンサス研修の第一ポイントは、ビジョンとポリシーを再確認することである。
  自分たちが目指すものを、一人ひとりの心に何度も刻み込む必要がある。実際に社内で起きた出来事をケース・スタディとして、ビジョンとポリシーに基づいて考え行動することを学ぶのである。具体的な状況の中で、何をどうすることがビジョンに近づくことなのか、ポリシーに基づいた行動なのかを繰り返し共有化する。このように自分の中にしっかりとした行動基準をつくることで私たちは自発的に行動することができるようにもなる。
  そして第二のポイントは、自分が「まだまだ」であることに気づくことである。
  私たちは意識をしていないとすぐに安楽の欲求に流されて、「わかったつもり、やっているつもり」になってしまう。これはなかなか自分一人で気づくことができない。だからこそ「つもり」なのである。このように安楽に流される意識を常に初心に戻すためにコンセンサス研修が必要なのである。
  すべての研修についても言えることであるが、コンセンサス研修を進めるに当たっても、OJTと連携させることが必要である。OJTでは一つひとつの発言と行動について上司がメンターとして的確なアドバイスをする。もちろん上司が見本となって行動していることが前提である。最大の研修の場はもちろん職場である。職場の上司が部下を信頼し、見本となって行動することが最高の指導である。人は他人の言葉よりも行動によって最も多くのことを気づくことができるからだ。
  教育とは教えるものではなく、見せるものである。
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■正しい評価システムとは−他に頁献てきる人ほど高い評価を得る

 そもそも人間社会における評価とは、常に他人がするものである。企業の年間売上は顧客が決めるものであるし、個人の報酬も会社や周りの人々が決めるものである。企業はどれだけの価値・感動を社会に提供できるかによって、結果として売上が決まり、個人もどれだけの社会的生産性を発揮するのかによって、結果として報酬が決まるだけである。
  人間社会の中では、どれだけ自分で自分を高く評価したとしても意味はない。それはただの自己満足にすぎないからだ。そうではなく、社会や他人がどう評価するのかが本当に意味のある正しい評価である。
  ここでは特に個人の報酬に対する評価について考えてみよう。
  報酬は自分で決めることはできないものである。できることは、どのような目標を持ち、どのような報酬制度の中で、どれだけの社会的生産性を発揮するのかということである。
  自分は全力で努力するだけであり、その結果はあらかじめ決められた評価システムに基づいて評価される。評価基準は、時給で計算するのか、年間契約で決めるのか、売上に応じて決めるのか、上司に一任するのかなど無限にあり、状況に応じてあらかじめ決めておけばよい。
  最近言われ始めた「自分で自分の報酬を決める」制度というのも、会社や上司が決めるシステムではなく、売上に対して決まる、つまり顧客や社会が決めるシステムの中で自分の目標を決めるという意味である。いわば歩合制の報酬システムである。つまり「自分で決める」とはいうものの、それはあくまで結果であり、あらかじめ確定することはできない。年収五○○万円を自分で決めたとしても、それに対応するだけの売上をあげることができなければ五○○万円を得ることはできないのである。
  また、企業の中で最も問題になるのが、あらかじめ決められた評価基準に同意しないまま働くことである。よく企業の中で自分の評価が実際よりも低いと言う人を見かけるが、後になって評価が低いことに不満を言っても始まらない。だからこそ評価基準については、あらかじめ同意したものでなければならない。それがどのような基準であれ、同意したものが最も正しい基準ということになる。そして同意した以上、自分への評価に対して不満を言うのはまったくの本末転倒である。
  たとえば上司が評価する基準のもとでは、上司の評価は間違っていたとしても正しいと考えなければならない。もし評価について問題があると考えるならば、既存の評価基準を守ったうえで評価基準を変える提案をすればいいだけのことである。
  そもそも他人の評価が正しいかどうかという議論は意味がない。なぜなら評価が間違っているという人がいるのは、自分の評価が低い人が不満を言っているにすぎないからだ。お金をかけて睡眠時間も削ってつくった商品が売れないのは、買わない顧客が間違っている、と言っているのと同じことである。それでは、買わない顧客に無理やり商品を売りつけようとしているのと変わらない。そうではなく、自分の努力が足りないことが顧客の評価が低い本当の原因と考えなけれぱならない。
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■アシスト評価について−他人の評価を高められる人を高く評価する

 自立相互支援型組織をつくるうえで、ぜひとも検討しておきたいのがアシスト評価である。アシスト評価とは、どれだけ他人の生産性を高める支援をしたかを評価するものである。
  サッカーではゴールを決めた選手以上に、その選手にパスをつないだ選手の評価がとても高い。このように、特にチームプレーのスポーツでの世界では得点の機会をつくった選手の評価はとても高いものになっている。
  しかしビジネス社会では、個人の評価は結果だけが基準となっていることが多いために、自分一人が結果を出すために行動する傾向が強く、他人が結果を出すための支援が十分にできているとは言えない。これではサッカーにたとえれば、自分がボールを持ったら誰にもパスしようとせずに、そのまま一人でゴールに走り込もうとしているのと同じである。これではチームプレーはまったくできない。
  これと同じように、たとえ間接的であったとしても、価値・感動の提供に貢献した人々の評価を高くしよう、というのがアシスト評価である。たとえ結果を出すことができなくても、他人が結果を出すために支援ができる人々は、企業にとって非常に重要な人々なの だから。
  たとえば、管理者である上司に対する評価は、まさにこのアシスト評価であるべきだ。部下の実績を自分の実績とするような上司が現れるのは、支援することを評価するアシスト評価のようなシステムがないためである。このようなことを防ぐためにも、部下の評価 を高められる上司ほど評価が高くなるようにすることが必要だ。
  さらに、他部署の支援をしたりすることを高く評価するようにすることも必要である。ビジネスとは自分の仕事を終わらせることが目的ではなく、ビジョンにどれだけ近づくことができるかが目的であるからだ。そのためには他人や他部著の業績が自分の評価として返ってくるようにすればよい。
  アシスト評価は仕事の生産性に直接関わることばかりではなく、精神的な支援も評価することが大切である。励まされてやる気になった結果、成果が出たというような時も励ました人がきちんと評価されるシステムにする。そのためには前回紹介した「感動日報」や「達人技ボード」などを用いて連携させるとよいだろう。
  このような他人を出世させられる人の評価が最も高くなるようなシステムが相互支援型組織には必要である。
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■プロセス評価(チャレンジ評価)について−失敗するぼど評価が高くなる

 さらにまた、失敗するほど評価が高くなるプロセス評価(チャレンジ評価)は、社員・スタッフのモチベーションを高く維持できる一つの有効なシステムである。どんなに失敗したとしてもあきらめずにチャレンジするほど成功したときの評価が高くなるようにするのである。普段からどれだけのチャレンジをしているかが重要で、一回で成功することよりも、何度も失敗しながらも成功するほうが評価が高くなっていくというシステムである。失敗するほどやる気になるわけだ。
そもそも人はなぜチャレンジしなくなるのだろうか。
  それはチャレンジして一度でも失敗すれば、その後は二度と再起できなくなり、人生そのものが終わってしまうシステムの中にいると思い込んでいるからである。こうなると、やれば確実に成功することでなければやろうとしなくなってしまう。このようなシステムの中では、今までと同じことばかりを繰り返し、新たなチャレンジをしなくなってしまうのだ。
  評価方法については一人ひとりの行動プロセスを周りの人々が見て評価するのが基本である。ただ、評価をする際にどんな難易度のチャレンジをどこまでやったのかがわからなければ、評価することは難しい。そこでチャレンジの対象となる仕事内容にあらかじめ難易度をつけておいて、その難易度に応じた点数をつけ、失敗するたぴにその点数が高くなっていくようにする、という方法もある。いずれにせよ、評価システムは閲わる人々全員の合意で決めることである。
  このようなシステムではわざと失敗する人が出るのではないかという心配は無用である。つまり、一つひとつのチャレンジを成功させたほうがトータルでの評価は圧倒的に高くなるわけで、わざと失敗する人のメリットはないからである。
一つの失敗がそのまま人生の失敗になるような風土で人材は育たない。失敗がチャンスになるような風土が必要である。失敗をチャンスにするための評価システムが、今述べたプロセス評価である。
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