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相互支援組織の作り方
第10回
リスナーによる問題解決
−相手が勝手にやる気になる−
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■教えるほど考えなくなる部下−教えるのではなく引き出す

 以下は、社内でのある日の上司と部下の会 話である。
部下 「こういう時はどうすればいいのですか?」
上司 「こうしなさい」
部下 「では、こういう時はどうすればいいのですか?」
上司 「その時は、こうしなさい」
部下 「さらにこういう時は?」
上司 「……いいかげんに自分で考えなさい!」
  その後、いつまでたっても事が進まない。
上司 「どうしたんだ、まだやっていないのか」
部下 「ええ、どうしたらよいのかわかりませんし、急ぐこともないと思いましたので」
上司 「おい、何を考えているんだ。それじやお客様に迷惑がかかるじやないか!すぐにやりなさい」
部下 「……何をですか?」
  学校教育で正解のある問題をどう解くかを教えられ、企業に就職してからも上司から仕事の進め方を教え込まれる。自分で考え行動しようとしても、上司の考えと食い違うところがあれば無理やり説得されてしまう。反論したくても自分の評価が下がることを恐れて仕方なくあきらめる。こうしていつの間にか自分で考えることをしなくなってしまう。ときに考えることがあったとしても正解が見つからず、できない理由を見つけて結局は何も行動しない。
  また、上司の指示どおりにやってうまくいかなかった場合には、部下は上司に責任があると考えるようになる。自分の判断で行動しない人は自分の行動の責任をとろうとはしないものである。いやそれ以上に責任をとる必要がないとさえ考えるだろう。
  上司が日常部下とどのように接しているかによって、部下の意識と行動は決まるものである。
  人材育成とは、自分で考え自らの責任で行動できる人材を育成することにあるはずである。教え込むのではなく、自分で考えるように導くことが本当の人材育成だ。
  「教えるのではなく引き出す」、これが人材育成の基本原則であり、この原則に則って部下との接し方を見直す必要がある。
  そして自分で考える能力を引き出し、自らの意思で行動させるのがリスニングという指導技術であり、その役割を担うのがリスナー である。
  今回は、このリスナーについて考えてみたい。
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■自分で気づかせるリスニング−自分で解決するからやる気になる

 以前より米国では、リスナーの存在が注目されている。リスナーとは文字どおり、相手の話を聞く人という意味である。では、なぜこのようなリスナーが注目されているのだろうか。
  このリスナーになることによるメリットは、まず話を聞くだけで相手の問題は解決に向かうことにある。
課長 「部下がどうしても仕事を一生懸命にやろうとしなくて困っています」
部長 「そうか、それは困った問題だね。でも、どうして一生懸命にやろうとしないんだろう?」
課長 「きっと彼にとって仕事は一生懸命にやりたくないものなんですよ」
部長 「じゃあ、仕事がやりたくなるにはどうしたらいいんだろう?」
課長 「仕事を通しての夢が必要じゃないんですかね」
部長 「じゃあ、そのために君はどうしたらいいんだろう?」
課長 「彼と夢を……そうか!わかりましたよ。先ほどの話はなかったことにしてください」
  現実にはこんなに簡単には会話は進まないかもしれないが、リスナーの役割はどんなものかをイメージすることはできると思う。
  自分がリスナーになっていれば、相手は自分に対して問題を伝えようとする。そして、相手がこちらに問題をわかりやすく伝えるた めには何が問題であるのかを整理しなければならない。まずここで問題が整理される。そして話しているうちに、どうしたらその問題 が解決できるのか、または自分以外に原因があると感じていたことが、実は自分自身に本当の原因があるということに気づくことがで きる。
  問題と感じていることは、整理されればされるほど、また自分自身に本当の原因があると考えるほど解決に近づくものである。

 人が最もやる気になるのは、自分で気づいたこと、自分で決めたことに取り組むときである。
  たとえ上司の判断が正しいものであったとしても、それを押しつけられたのでは部下は反発したりやる気をなくしたりする。上司の 指示どおりに行動したかどうかではなく、自発的に自分の意思で行動したかどうかが問題だ。大切なことは正解を押しつけるのではな く、自分で決めさせて取り組むようにすることである。
  自分で決めたことだからこそ自発的な行動につながり、大きな試練さえも乗り越えていくことができる。
  いわばリスナーは、相手の話を聞くことによって気づかせる役割なのである。

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■リスナーの条件−五つの実践ノウハウ

 リスナーにおいて最も大切なことは技術を身に付けることよりも、相手を信頼する姿勢を持つことである。そのうえで初めて技術が生きる。
  テクニックだけで人を導くことはできない。それは効果を高めることができるだけである。信頼関係がない関係の中では、いかなるテクニックもまったく効果を発揮することはできない。
  リスナーであるためには単に話を聞くといった行為以上に幾つかの重要なポイントがある。以下、リスナーの実践ノウハウについて 解説してみたい。

1.相手を信頼すること

 それは相手のすべてを受け入れることである。相手がどのような人間であるかは問題ではない。ミスのない完璧な人間などはいない し、自分の思いどおりになる人間もいない。相手が信頼できるかどうかが問題ではなく、まずは自分自身が相手を信頼するかどうかが 問題である。
  自分が相手から信頼されなければ、相手は本音を話すことはない。相手を信頼することはリスナーであるための前提条件である。

2.相手と同じ立場で話を聞くこと

 自分と相手が意識的な対等関係になければ、相手は素直に何でも話すことはしない。立場はどうあれ、本来人間と人間の関係で考えれば常に対等関係であるはずだ。このことを忘れると、たとえ親子の関係であったとしても、子供は親の言うことを聞かなくなるものである。
  ものごとがわかっているからリスナーなのではなく、自分も一緒になって同じ立場で考えようとするからリスナーなのである。

3.真剣に相手と向き合うこと

 相手の話を集中して聞くこと。相手が話をしたくなるためには自分がどれだけ相手と真剣に向き合うかが大切なことである。こちら に聞く気がないと相手が感じれば話す意欲を失ってしまう。真剣に話を聞く耳を持つことがこちらに対する安心感・信頼感となり、思 っていることすべてを伝えようという気持ちになる。
  自分がどれだけ真剣に話を聞くかどうかということと、相手がどれだけ真剣に話すかどうかは比例する。

4.疑問符を投げがけること

 疑問符を投げかけて相手の話を促す。相手が自分自身の思い込みに気づくには、無意識に当たり前と思い込んでいることをあえて考 察し直す機会を与えることが必要である。聞かれたことに応えるために、相手はこの再考察をしなければならなくなる。
  「なぜ」「どうして」「具体的に」と聞いていく。それによって話の中で矛盾があれば自分で気づくことができるようになる。
  問題は整理させるほど解決策が見つかるもの。相手の話を聞くことによって相手の頭の中を整理させることができれば、おのずと解 決策は見えてくる。

5.最終的意思決定は相手に任せること

 判断を押しつけてはならない。判断は相手にさせることである。それが正しい判断とはほど遠いものと感じたことであっても、最終 的には相手の意思を尊重して委ねることである。
  相手がイヤイヤやるのは自分で決めたことではないからである。やりたくてやるようにするためには、最終的に相手に決めさせるこ とが不可欠である。

6.待つこと

 これが最も難しい。私たちはどうしてもすぐに成果の出ることぱかりを優先したくなる。そしてそのために相手に行動を強制する。しかしそれは必ずしも良い成果になるばかりとはいえず、相手のためになるとは限らない。社員に対して何事も強制ばかりする企業は急成長するが故に崩壊する。
  短期的成果よりも人間的成長を優先しなければ人も企業も長期的成長はありえない。企業の成長と人材の成長は相関関係にあり、人 材の成長なくして企業の永続的成長はないからである。
  相手の人生の中で成長を考えて待つことである。

 いつでも自分の話を聞いてくれるリスナーがいることで、私たちは常に自信を持って行動することができるようになる。すべては自 分で判断して自分で行動すべきことがわかっていたとしても、ときとして私たちは不安や迷いの中で行動が消極的になることがある。 そんな時ほどリスナーがいる人といない人とでは行動に大きな差が出ることは否めない。
  優れた上司・リーダーになるためには、部下にとって良きリスナーであることが極めて重要な要件である。いやそれ以上に悩める上 司に対し、部下として良きリスナーになることが求められている時代でもある。

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