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自立型姿勢
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相互支援組織の作り方
第9回
自立型社員を育成するメンター
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■いくら教えても人が育たない−教えるのではなく気づかせる

 ある時、学校の先生向けの専門誌の取材を受けた。取材テーマは「先生は子供たちに対してどのように教育すべきか」ということだった。教育の現場では、先生の言うことを聞かない子供たちや不良化する子供たちが後を絶たないばかりか、どうしていいのかわからなくなって精神的に行き詰まり、登校拒否する先生までいるという。学校に来ない先生の自宅に校長先生が迎えに行くという珍事(?)まで起きているらしい。
  そこで私は以下のような話をした。
  「そもそも教育しようという考えを変えないかぎり、この問題を解決することはできないと思います。子供たちを教育する前に、先生が子供たちからどう思われているのかが問題です。仮に、子供たちから「あんな先生みたいにはなりたくない」と思われていたらどうなるでしょう。先生の言うことを子供たちは喜んで聞くでしょうか。それどころか”先生の言うことを守ったら先生みたいになっちゃう”と言って、きっと言われたことと反対のことをするに違いありません」
  「では、そういう時はどうしたらいいんですか?」
  「そうなってしまったら、そうなったなりの対処法があります。学校へ来るな/約束は守るな/と言えばいいでしょう。みんな先生みたいになりたくないと、反対の行動をとるからです」
  最後の一言はもちろんジョークである。しかし、企業内においても同じようなことが言えるのではないだろうかと私は思っている。
  いくら教えても人が育たない。わかっているはずなのに行動しない。教えよう、やらせようとすればするほど、なぜかこのような結果になる。それでも無理やり強制してやらせようとすれば、相手はウソをついたり、ごまかしたり、さらにはノイローゼになってしまうこともある。そして自分もノイローゼになる。
  教育とは押しつけるものではなく、気づかせるものである。人が成長しないのは成長したくないからだ。人がやる気にならない本当の原因は相手にあるのではなく、気づかせてやる気にさせることができない上司のリーダーシップの欠如にある。
  個人が成長するかどうかは、すべて個人の意識にかかっている。教え込もうとして、教えることができるのは知識でしかない。しかし、知識といえども個人が自発的に学ぼうという意識がなければ、時間は何倍もかかってしまうだろう。しかし、個人が自発的に成長しようとすれば、どんどん自分で知識は身に着けていくものであり、もちろんその修得にかかる時間も短くなるはずだ。
  教育とは、いかに気づかせてやる気にさせるかが最も大切なことである。
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■管理するほどやる気がなくなる−管理から支援へ

 これまで一般的に企業は成長するのに伴って、管理型の組織となっていくのが通例であった。では、なぜ企業は社員を管理するようになるのだろうか。
  企業が売上や利益を目的にするほど、経営者は社員に対して利益を上げることを期待する。しかし、言われなければやらなかったり、働くふりをする社員が後を絶たない。そこで目標設定をさせて行動を細かく管理するようになっていく。
  ところが、いくら管理をしても社員は必ず抜け道を見つけ出して、ごまかすようになる。完璧に人を管理することはできない。頭の良い人間であっても管理をごまかすために頭を使えば、せっかく導入した管理手法もあっという間に効果をなくしてしまう。そうなるとどんなに緻密な管理手法であっても、時間とともに陳腐化せざるをえない。それに対して会社側も、また新たな管理手法を導入して対抗しようとする。こうして管理する側と管理される側の尽きることのないイタチごっこが始まる。
  本来、人は強制的に管理するほどやる気をなくしてしまうものである。なぜなら強制的な管理は信頼関係を放棄することにほかならないからだ。
  いかにして人をやる気にさせるか、そして社員が自発的に自己管理していくか、このことが企業の存在を左右させる最も大切な課題なのである。

 この課題を解決するためには、強制的な他者管理から自発的な自己管理へと、管理のあり方を変えることである。そして、そのためには根本的な発想の転換が必要だ。
  つまり、部下への動機付けは上司が見本となって行動することによって自らの姿で示すことである。仕事を楽しんでいない上司のもとで部下は仕事を楽しむことはできないし、部下を信頼していない上司に対しては部下も信頼しない。部下が自分の言うことを聞かないのは、自分が部下の言うことを聞いてこなかったからであり、部下がイヤイヤ仕事に取り組んでいるのは、自分がイヤイヤ仕事に取り組んでいるからである。
  他人は自分の鏡である。夢に向けてチャレンジする上司の姿が部下にやる気を起こさせるのだ。部下にやる気を求める前に尊敬されるような見本としての行動ができていないこと、つまり自分自身にやる気がなかったことを反省する必要がある。教えるのではなく、自分の生きる姿で見せるのが真の教育なのである。
  そして、このようなリーダーを「メンター」という。

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■自立型人材を育成するメンター−自らの姿勢で示し信頼して支援する

 メンター(Menter)とは「相手の持つ可能性を最大限に発揮させる支援ができる人」の ことである。自発的に能力を最大限に発揮する自立型姿勢の人材を育成することができる のがメンターだ。そして、最高のメンターとは、そこにいるだけでみんながやる気になる ような人のことである。
  メンターの人材育成に対する基本的な姿勢は「自ら見本となって行動し、相手を信頼し て支援する」ことである。
  以下このことについて詳しく説明してみよう。

1.見本となる
  見本となるということは、まず自分自身が自立型姿勢で前向き積極的に物事に取り組む ことである。
  メンターを単に精神的支援者と訳することがあるが、それはメンターの本質ではない。 メンターはまず自分の姿勢で示さなければならない。つまり、自らの姿勢によって相手に 動機付けをするのである。
  子供に勉強させたかったら、自分がまずおおいに仕事を楽しむことである。毎日仕事を 終えて家に帰るたびに、
  「ああ、今日も一日仕事が楽しかった。また明日も早く会社に行きたいなあ。子供の頃た くさん勉強しておいて本当に良かった」と言えばよい。
  同じように部下に対しても、仕事は積極的に楽しんでやるものだ、と言う前に自分自身 が積極的に楽しんでやることである。他人に勇気を与える最も良い方法は自分がまず勇気 を見せることだ。最高の教育・人材育成とは自分の行動・生きる姿で示すことである。
  メンターは自立型姿勢を行動によって示すことによって、尊敬されるような人々のこと である。いわばメンターとは相手から与えられる権威だ。その意味で「自称メンター」は 偽物ということになる。

2.信頼する
  信頼とは相手のすべてを受け入れることである。そのためには、相手に問題があるのではなく、すべては自分に問題があると考える必要がある。考え方を変えることによって相手のすべてを受け人れることができるようになるからだ。たとえば、仕事はできて当たり前だと思えば、毎日が部下に対しての不満となり、部下に対して怒るだけになる。しかし、仕事はできなくて当たり前と思えば、毎日が部下に対して褒めるだけになる。
  また、信頼とは期待と対峙する考え方である。期待が相手を思いどおりにしようとするのに対して、信頼とは相手にすべてを任せることである。期待と信頼の大きな達いは、信頼が相手から裏切られることさえも前提としている点である。
  「信頼関係をつくるためには、いっしょに飲みに行ってじっくり話し合ってコミュニケーションを取ればよい」と言う人がいる。ところが飲みに行く回数が多い人々ほど互いに信頼し合っているかというと、実際にはそうでもないことが多い。その理由は、コミュニケーションを図ると言いながら、実は上司が部下に自分の考えを押しつけているだけということが少なくないからである。
  コミュニケーションを取ることによって信頼関係は生まれない。信頼関係は相手のすべてを受け入れる、つまり相手はどうあれ、こちらから信頼することによってしか生まれないものである。

3.支援する
  支援の目的は相手をやる気にさせることであり、いわゆる管理とは対峙する考え方である。相手を管理、コントロールしようというのではなく、相手のために今できることをやるのが支援である。
  たとえば企業の中では、上司は支援する対象であり部下も支援する対象でしかないと考える。さらには他部署であっても支援する対象ということである。そしてお互いがお互いに支援し合うことによって、結果としてそれぞれが自己の目標を達成できるようになる。組織の活性化とは互いに支援し合うことによって達成されるのである。
  部下が自分を支援してこないことを嘆くより、その前に自分が部下を支援してこなかったことを反省しなければならない。
  また、支援において大切なことは何を支援するのかという内容よりも、支援しようという気持ちを持つことである。なぜならば何を支援したかということよりも、どんな思いで支援したのかということが相手に伝わってしまうからだ。何も手伝うことができないから、何も手伝わないということが一番の問題である。
  そして、相手に対して私たちができる最高の支援とは「励ます」ことである。この「励ます」ことはどのような状況でもできるはずである。

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■管理型マネジメントとメンタリング・マネジメント−恐怖で動かすか、尊敬で動かすか

 強制的に社員の行動を管理しようとする管理型マネジメントに対して、社員の自発性を重視したマネジメントをメンタリング・マネジメントと言う。「北風と太陽」の童話にたとえれば、北風のように強制してやらせようとするのが管理であり、太陽のように相手の自発性を促すのがメンタリングである。管理型マネジメントの目的は相手をこちらの思いどおりに動かすことであるのに対して、メンタリング・マネジメントの目的は相手が自発的に努力することにある。
  管理型マネジメントの基本は、権力のもとにいわゆる「アメとムチ」を使って相手をコントロールすることである。指示どおりにやれば金銭や地位などの報酬、つまり安楽を与える。しかし、指示どおりに行動できなければ、評価を下げたり、配属を替えたりすることによって個人の安楽を奪い去る。人々は恐れおののきながらも仕方なく自分の安楽のために従ってくる。これは一言でいえば「恐怖」によって人を動かすことである。短期的効果だけを見れば、このような「恐怖」によって人を動かすことは極めて有効なマネジメントに見える。
  しかし、このようなマネジメントの長期的な結果は決まっている。管理型マネジメントでは相手の行動を強制することができても、意識を管理することはできない。もともと意識はどうあれ、行動を管理することが目的だからだ。そして、強制的な管理は社員の自発牲を奪うことになり、管理されるほど束縛感、限界感を持つようになる。そして束縛感・限界感を持つと、「どうせがんばったとしても、うまくいかないさ」「自分のような立場では何もできない」と自発的行動を放棄してしまう。こうして次第にみんな疲れ果ててしまい、生産性はどんどん低下していかざるを得なくなる。それは管理型マネジメントが社員の意識を無視して、行動だけを強要した結果である。
  一方、メンタリング・マネジメントは自らが見本となって行動し、相手を信頼して支援することによって、いかなる困難に対しても果敢に挑んでいくように導くことである。それはいわば「共感と尊敬」によって相手の自発性を促すマネジメントである。
  メンタリング・マネジメントによって相手は自由と無限の可能牲を信じることができる。つまり「うまくいかないのは、うまくいくまでやっていないだけだ」「今できることからやっていこう」という意識で物事に取り組むことができるようになる。自分自身に自信を持ち、前向きに問題にチャレンジしていこうという気待ちを持たせることができるのである。
  また、メンタリングにおける最高の報酬とは感謝と感動である。共に喜び合うことが、相手にとって至福の報酬となる。もちろん、ビジネスの世界では結果として金銭と地位もついてくるだろうが、それらは結果にすぎない。
  社員一人ひとりが自発的に行動するように導くメンタリング・マネジメントは企業の長期的な発展においては不可欠な経営概念である。
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