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相互支援組織の作り方
第6回
企業の成長と社員の幸せ
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■就職に成功して人生に失敗する‐1流企業を崩壊させる1流大学生

 最近は毎年春になると、大手企業の新入社員向けの講演を依頼される。ちょっと厳しい内容の講演をしているのだが、なぜかその内容がとても評判がいいので驚いている。その出だしの内容をちょっと紹介したい。
  「皆さん、入社おめでとうございます。しかし私は皆さんのことを考えるととても胸が痛みます。なぜなら、皆さんは今とてつもなく大きなハンディキャップを負わされてしまったからです。こんな一流企業に入社してしまったことは皆さんにとって、とても厳しい環境になったに違いありません。今まで以上に努力をする覚悟がなければ、皆さんの将来はないでしょう。
  私は今、就職に失敗した若者たちともよく接する機会があります。彼らはみんな真剣に自分の人生を考え、将来に向けて努力をしています。彼らの緊張感は私にも手に取るようにわかります。手に職をつけるために専門学校で今度は本気で勉強しようという人がいたり、将来自分で会社を設立するためにあえて小さなベンチャー企業でアルバイトとして働き始めた人もいたりします。就職に失敗した彼らは、ずーっと緊張感を持って毎日を生きていくにちがいありません。そして必ずや彼らは、好きなことを見つけ出し、そこで自分の可能性を発揮することでしょう。
  しかし皆さんは違います。もうどこかに彼らとは違った安心感を持っているはずです。安心感はとても心地よいものです。しかし、今の安心感は将来の失敗の種でしかありません。常に自分自身を向上させていかなければ、世の中で必要のない人になってしまうでしょう。本当にどんなに苦労をしても成し遂げてみたいという目標を持たなければ、皆さんは一日を一年を何となく過ごしてしまうかもしれないのです。
  企業は日々変化する環境の中で、社会的な価値を生み出し続けなければ存在し得ないものです。そのためには常に現状を打破し、創造していくことが不可欠です。それは緊張感のない人たちにはできません。皆さんの行動が企業の将来を決め、その結果が皆さんに降りかかってくるだけのことなのですから」

 一流大学を出て一流企業に就職することは、人生に失敗することと同じかもしれない。就職は人生の終着駅ではない。それどころかむしろ始まりである。学生時代という準備期間が終わり、やっと社会で活躍するスタートの時が就職である。そこで安心するというのは、本末転倒な話なのではあるまいか。一流企業であったとしても二○年後、三○年後の将来はわからない。そして企業の将来をつくっていくのがそこで働く人々にほかならないのだ。
  企業はそこに集まる人々の意識の集合体である。一人ひとりの意識に緊張感が失せたとき、企業の内部から崩壊が始まっているといえるだろう。企業の将来もまた、今そこに集まっている人々の意識がつくっているのであるから…。
  現在は過去の結果であり、末来は現在の結果である。

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■「社員の幸せ」が企業を崩壊させる−幸せとは同じ目標に向かって共に苦労すること

 企業のトップが企業活動の目的の一つに「社員の幸せ」を謳うことがある。この「社員の幸せ」とは一体どのようなことをいうのだろうか。それがもし、生活保障に基づく安定した生活に基本をおいたものだとするならば、「社員の幸せ」は達成できないものになるだろう。
  世界最高水準の給与、福利厚生や教育制度などの待遇を達成した日本企業。そこで働く私たちは、すでに一○○年前の王侯貴族以上の生活をしている。だが、不満はなくなるどころか日増しに増大してストレスとなり、企業の足を引っ張るものとさえなっている。
  意欲は減退し革新的風土はなくなり、いつの間にか企業の生産性は落ちていく。企業は社員のために膨大な固定費と労力をつぎ込みながら、なぜ社員の不満を消すことができないのか。
  その原因は「社員の幸せ」を人間の持つ本能的欲望を満たすことと考えたことにある。
  人間の幸せは、大きくニつに分けて考えることができる。一つは社員の生活を保障して安楽に生きることができる環境を提供することである。しかしこれはいくら提供したとしても、はてしない本能的欲望によって、社員はさらなる高待遇を要求してくるばかりとなり、かえって社員の不満が増大することになる。
  そして、もう一つは共に同じ目標を達成するために共に努力して充実した日々を送るようにすることである。それは社会や他人に役立つ価値・感動を提供するために、企業という手段を通じてみんなで努力することだ。目標を共有化している会社の社員は疲れないし、不満も言わない。会社とは、何かを期待するものではなく、自らの努力で創り上げていくものであるからだ。
  自分の利益のために働くのではなく他人のために働く。社会に貢献できるビジョンに向けて集まった仲間が、互いに能力を発揮し共に苦労すること、それこそが本当の「社員の幸せ」である。
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■尊敬されない上司が企業を崩壊させる−職位は部下から与えられるもの

 あるベンチャー企業で新しく役員になった方と話をしていたときのこと。その方とは以前から面識があり、とても意欲的に仕事に取り組んでいたことを私はよく覚えている。
  「もう役員ですか!」
  「おかげさまで、でも私はこう思っているんです。役員というポジションは会社から与えられたものですよね。社員全員が認めてくれたわけではありません。なにしろ何百人もいる社員の中には私がどのような人であるかを知らないという人がまだまだたくさんいます。私も一人ひとりが何を考え、何に悩んでいるかも知らないことが多いんです。社員全員が私を役員として選んでくれたわけではありません。立場は役員かもしれませんが、みんなが本当に役員として認めてくれるかどうかはこれからの問題です。肩書だけでは何の価値もありませんから、私はまだ本当の役員になったとは思っていません。福島さんが言われるようにみんなの見本となることが役員の仕事だと思っています。すべてはこれからのことです。アルバイトの学生からも役員として認めてもらえるように、そして本当の役員になれるようにがんぱりたいと思います」
  職位は会社から与えられたものであって、社員から与えられたものではない。ただ一般には、職位は会社が与えるものと思われている。しかし現実には職位の高い人が必ずしも、すべての部下から尊敬され、見本として注目されているとは限らない。居酒屋などで上司の悪口を言う社員が見受けられるのは、命令には従うものの本当に尊敬しているわけではないことを如実に物語っている。
  職位が高いほど、その人の人間性が厳しく問われる。より高い能力が求められ、より難しい困難も乗り越えていくことができるからこそ職位が高いのだから。上司は他人に命令する権限があるのではなく、他人の見本になる責任がある。社員全員から認められたときはじめて本当の上司になれる。むしろそれまでは、試用期間として考える必要があるのではないか。
  会社から認められても部下から認められないのであれば、むしろ自分から会社から与えられた職位を降りるべきである。そうでなければ企業は本来の目的が達成できなくなるばかりか、崩壊の道をたどることになるだろう。
  部下から与えられた職位こそが真の職位である。
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■出世の目的化が企業を崩壊させる−出世のために働くふりをする社員

 「そんなことをやっていると、将来の出世にひびくぞ」
  「業績が悪い時こそ出世のチャンスだ」
  こんな言葉が、社員をやる気にさせると当然のことのように思われている。確かに人間の欲望に訴えたこのような表現でやる気になる社員もいる。しかし残念ながらこのような言葉が飛び交う会社では必ず次のようなことが起こっているはずである。
・誰に話を聞いてもみんながんばっているというのに、なかなか成果につながらない。つまり、社員が忙しく働いているにもかかわらず、企業の生産性が上がらない。
・社員の意識が社内の人間関係、人事のことばかりで顧客や社会に目が向かない。
・良い報告ばかりが上がってくるが、いざふたを開けてみると、あちこちにトラブルの種が見つかる。
・何か問題が起きるとみんな他人や他部署のせいにする。
・情報の共有化をうたっても情報が共有化できない。他人や会社に情報を求めるばかりで自分から情報を提供しようとしない。
・新規事業など新しいことにチャレンジする社員が出てこないばかりか、みんなが同じこと、できることばかりをやろうとする。
・会議で何か提案を求めてもみんな黙っているだけである。
・まじめに仕事をする社員より根回しばかりする社員が出世し、それをまたみんなが知っているために企業の中にまじめに働く社員がいなくなる。
  このように出世を目的化すると、社員の意識は自分にとって都合の良いこと、確実にできることを優先するようになる。たとえ問題に気づいたとしてもそれが重大なものであるほど、他人に責任を押しつけるようになるだろう。出世にとって意味のあることばかりを優先し、社会にとって意味のあることが後回しにされる。その結果として、自分が所属する企業の存在価値を失わせて、最終的には出世をしても企業そのものがなくなるという矛盾に陥ることになる。
  自分の利益よりも社会の利益を優先するのが社会人であり、社会の利益よりも自分の利益つまり出世を優先するのが会社人である。会社人の増加は、組織としての結束力を弱め企業内の活力を根こそぎ奪うだろう。一人ひとりが社会で存在する価値があるからこそ、その集合体として企業が存在することができるのである。
  十数年前に安定性ナンバーワンと言われた我が国の金融業界が、まさに今その存在価値を問われている。
  「将来の出世」は「将来の失業」とイコールなのである。
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■忠誠心が企業を崩壊させる−求められる社会に対する貢献心

 これまで多くの企業が社員に対して忠誠心を求めてきた。その理由は企業の成長を他の個人の価値観よりも優先させるためであった。そしてその忠誠心の対価として生活保障を与えてきたのである。確かに同じものをつくれば企業が成長する時代はそれでもうまくいった。しかし、時代は大きく変化した。今日のように社員一人ひとりが自発的に考え、行動しなければならない時代では、このような企業と個人の関係はまったく意味をなさない。
  企業が給与を支払って社員を雇うのではなく、同じビジョンに共感して集まった人々で企業を創り上げているのである。雇った社員はできる限り楽をして仕事をしようとするが、目的を共有化して集まった社員はいかにたくさんの仕事をするかを考える。このことは言い換えれば、仕事を与えられるものと考えるか、仕事は創り出すものと考えるかの違いでもある。
  これからの企業と個人の関係では、個人が企業を通して社会の中で自己実現していくという考え方が必要である。そのために個人は社会的生産性を上げなければならないし、一方で企業は個人の生活を保障するのではなく、個人の生産性を高めるための支援をする必要がある。個人はあくまで自発的に自己の能力を高めていかなければならない。
  個人は企業を通して社会との関係の中で生きているのである。社会の中でどのような役割を担い、どんな新たな社会を創生するのか、夢を持って生きることで個人は社会的存在価値を持つことができる。企業は社会と個人をつなぐ便宜上の媒体でしかない。大切なことは企業に対する忠誠心ではなく、社会に対する貢献心なのである。
  そのために企業は社員を支援する対象と考えなければならない。つまり、企業はそのビジョンの達成に向けて社員のためにどんな支援ができるのか考えるならば、企業内のカは結集して企業はそのビジョンの達成にどんどん近づくことができるようになるだろう。
  ビジョンとは企業が達成するものではなく、個人がカを合わせて達成するものだからである。
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