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相互支援組織の作り方
第4回
企業の目的はビジョンの達成にあり−成長するほど社会的に賛美される企業−
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■夢は人を元気にする−疲れるのは夢がないから

 ある新年会の基調講演にお呼びいただいたことがある。年明けすぐで多くの会社がまだ正月休みの最中という日だった。そこには大手企業に勤める方々、中高年の男性ばかりが100名くらい参加されていた。しかし、私はその会場からなんとなく意欲を感じることができなかった。なにもこんな日にやらなくたっていいじゃないか、といった感じがしてならなかったのである。
  そこで私は講演の始めにこんな話から切り出すことにした。もちろんその場で思いついた話であるが。
「今日は何となく、皆さんから意欲を感じません。年明け早々からこれでは、この先一年がとてもつらいものになってしまうかもしれませんよ。でも、なぜ皆さんが疲れているかを私は知っています。ちょっと意外かもしれませんが、その理由は、皆さんが奥さんを愛していないからです!」
  みんなの目がきょとんとした。突然何を言い出すのだろうといった感じである。しかし会場全員の視線がこちらのほうを向いたことだけは事実だった。作戦は的中した。私はここぞとぱかり話を続けた。
「皆さん、私がお話ししたいのは、どんな状況に置かれても目標のある人は疲れないということです。奥さんを愛している、だからこそどうしても奥さんを幸せにする、といった目標があるとすれば毎日が充実するはずですどんな苦しみだって耐え抜くことができるじゃないですか。目標を持つというのは、その達成のためになら、いかなる困難をも受け入れることを言うのですから」
  私は自信ありげにこう話した。ところが、会場では相変わらずみんなの目はきょとんとしたままだった。やむをえず、私は話を本題に移した。
  私たちは夢を持つことによって、自分自身に意欲を湧き立たせることができる。反対に夢がないとただ何となく日々を過ごしてしまう。夢があると今日一日のやることが見えてくる。どんなに忙しくとも、その忙しさの意味が分かっているから納得してやれる。忙しければ忙しいほど夢に近づいているという感覚があるということだ。だからこそ疲れない。
  仕事で疲れるのはどうしてなのだろう。それは目の前の仕事を終わらすことを目的にしてしまうからである。目の前の仕事を終了することに没頭してしまうと、その仕事を一体何のためにしているのかが分からなくなってしまう。そしてまったく無意識で黙々と仕事をこなしていくだけの日々が続くと、人生がむなしいものと感じ始めるようになり、意欲もなくなってしまう。そうなればどんなに頑強な身体を持った人であったとしても、いとも簡単に疲れてしまうのである。
  人間とロボットの最大の違いは、エネルギ−保存の法則が人間には当てはまらないということである。ロボットは、その運動量に伴って必要なだけのエネルギーを確実に消費し続ける。消費効率の違いはあるにせよ、エネルギーを消費せずに動くことなどはありえない。
  しかし人間はそうではない。人間は働けば働くほど元気になることもできる。反対に、毎日何もせずに家にいると何をするにも面倒に感じてしまうこともある。
  私の知人の多くの起業家は、一年中ほとんど休みも取らずに仕事をしているにもかかわらず、いつ会っても元気だ。一方、年間一○○日以上もの休日を用意されているにもかかわらず、いつも疲れている社会人もいる。また休日が長いほど、その後仕事に完全復帰するのに時間がかかるようだ。正月やお盆の長期休暇の後などは「休みボケで、今日はまだ調子が出ない」とか、「ペ−スがまだ仕事のぺースになっていない」といった言葉が社内を飛び交うことがある。疲れたり疲れなかったりするのは、休みがあるかどうかによって決まるものではない。
  元気に毎日を過ごしている人々に共通することは、夢を持っていることである。たとえ経営者であっても、夢のない経営者はやはり疲れている。夢を持つ経営者は肉体的に疲れることはあっても、精神的に疲れることはない。ピジョンに向けて努力することで毎日を充実感の中で過ごすことができる。
  精神的に疲れるのは夢がないからなのである。
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■ビジョンの共感者集団としての企業‐探検隊型企業

 私は理想の組織・チームは、誰も達成したことのない目標を目指す探検隊だと思っている。探検隊は一つの目標の達成のためにみんなが命を賭けて参加してきた目標達成志向の強い集団である。
  探検隊の中では、それぞれのメンバーの役割は明確に決まっている。全体を統括する隊長を筆頭に、誰一人として必要のない人はいないし、それぞれがチームの中で重要な役割を担っている。そして、いざ何か問題が起これば、みんなが持てる知恵と能力を発揮して、助け合って解決していく。
  もちろんそうしなけれぱ、目標が達成できなくなるばかりかみんなが死んでしまう可能性があるからである。
  探検隊の結束力が強いのは同じ目標を共有しているからである。これはあらゆる集団の基本原則でもある。野球チームでもサッカーチームでも同じ目標を共有しているからこそ強いチームができるのだ。それぞれの選手が個人の利益のために勝手な行動をとったのでは、チームとしての行動をとることができなくなる。個人の利益はチームとしての成果によって大きな影響を受けるもので、目標に向けて闘い続けるチームに貢献できなければ、その人の報酬は減らされても仕方がない。
  企業もまったくこれと同じでビジョンを共有した集団でなければならない。一方、個人個人が違う目標を持って集まっているとすれば、カを結集することができなくなる。企業の規模がいくら大きくても、ビジョンの共有化ができていなければ組織・チームとしては最大の成果を上げることができない。だからこそ、個人も自分が共感できるビジョンを持った企業で働くべきである。もし違うビジョンを持っているならば、自分の目標と同様のビジョンを持った会社へ転職するか、休日休暇を利用してそのビジョンの達成を図るしかない。
  企業とは変化するビジネス社会の中で、新たな価値・感動を捜し続ける探検隊なのだから。
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■ビジョンの四条件−社会性・具体性・困難性・希少性

 では、企業におけるビジョンとは、どのようなものをいうのであろうか。ここでは、企業のビジョンの条件について考えてみたい。
  企業のビジョンは何でもいいというわけではない。ビジョンが意味のあるビジョンであるためには、以下の四つの条件を満たす必要がある。

第一社会性
  ビジョンは社会に貢献するものでなければならない。企業のビジョンとは社会の中における活動目的であり、その達成が社会にとって賛美される必要がある。そのためには、社会的な価値を生み出し、人々に感動を与えるものであることが求められる。ビジョンは誰からも共感されるものでなければならないのである。

第二具体性
  ビジョンは具体的で明確なものでなければならない。具体性のない抽象的なビジョンほど達成できないものである。具体性のないピジョンでは、そこに関わる人が何をどうしてよいのか分からなくなるからだ。何をどうすることなのかを、はっきりと誰にでも分かるようにするためにビジョンは具体的にイメージできるものにしておかなければならない。企業トップの頭の中だけにあるビジョンは現実化しない。

第三困難性
  ビジョンは簡単に達成できるものであってはならない。簡単に達成できるものであるならば、誰も本気になって達成しようとは思わないからだ。大きな困難を伴うものであるからこそ、その達成のためにみんなが本気になってカを合わせていくのである。

第四希少性
  企業のビジョンはその企業独自のものでなければならない。一般論ではない、その企業ならではのオリジナリティが求められる。企業独自のものであるからこそ、そこに共通の価値観を持つ人々が集まるのである。

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■ピジョンを持つ人に人が集まる‐ビジョンに向かう姿勢が共感を得る

 ビジョンが以上四つの条件を満たしたとはいえ、そこに人が勝手に集まるわけではない。ビジョンを持った企業に、その共感者が集うためには、さらに考慮しなければならないことがある。そのことについて考えてみたい。
  ある起業家セミナーでのこと。セミナー終了後に、そこに参加されていた経営者の一人が話しかけてきた。
  「福島さん、いくらビジョンが必要だと言ったって、そう簡単に社員に浸透させることはできませんよ。私の経験からして、ここ何年も会社のビジョンを社員に訴え続けているんですが、社員はいまだにまったく聞く耳なんか持たないんですから」
  「それは困りましたね」
  「だから福島さんも、実際にそんなことを社員に浸透させることなど無理だってことを、分かっておいたほうがいいんじやないですかね」
  「ありがとうございます。ところで、何でビジョンが社員に浸透しないとお考えですか」
  「そりや、社員にとってはどうでもいいことだからじやないんですか。そんなこと言って、もっと働かせようとしているだけだと受け取っているのかもしれませんな。ハハハ」
  「私はそう思いません。本当は、あなたが本気でそのビジョンを達成したいと思っていないからです」
  よく夢が人を集めるという。しかし本当は夢に立ち向かう人の姿が周りの人に共感を与え、集めているのである。
  どれほど社会的に意義のある、共感性のあるビジョンを語ったところで、それを語っている人が本気でなければ人を動かすことはできない。語る人の姿勢を人は見ているからだ。言っていることとやっていることに大きなギャップのある人の話に共感する人などはいない。私たちは、本気の人にだけ心を動かされる。
  ビジョンを持つということは、いかなる困難をも受け入れる覚悟をしたことにほかならない。その覚悟ができれば、周りの人を動かす強力な影響力を持つことができるようになり、自分にどんどん吸い寄せられてくる。まさに「気が移る」とはこのことをいうのだろう。この人ならば、どんなことがあっても必ずやり遂げていくだろうと感じたとき、初めて相手も本気になる。同じ夢に向けてどんな困難でも一緒に乗り越えていきたくなるのである。そうなれば、人を通して必要な経営資源がどんどん集まり、どんなに大きな夢でも実現が可能になる。不可能と思っていたことが一つひとつ可能になっていく。企業全体がやる気のある人々によって満たされているのであるから。
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■他社との競争から自己との闘いへ−ほんとうの競争相手は昨日の自分

 「漁夫の利」という有名な話がある。この話と同じようなことが、私たちのビジネス社会でも起きている。業界の中で目先の敵とマーケットシェア争いをしている間に、まったく違う発想で参入してきた他業界企業やベンチャー企業によって、マーケットを占有されてしまうことがある。目の前の他社に勝つという目的は、企業本来の目的ではない。たとえ、その目的を達成することができたとしても、企業そのものが強くなったわけではない。
  企業本来の目的とは、社会に貢献するビジョンの達成であり、その達成のために日々改善向上の努力をし続けることである。強い企業とは新たな価値・感動を生み出し続けることができる企業にほかならない。相手に勝つかどうかはその結果にすぎず、負けるということは、新たな価値を社会に提供することができなかっただけのことである。
  企業にとって本当の競争相手とは昨日の企業自身である。昨日と同じことをやるのではなく、ビジョンに向けて昨日できなかったことを今日できるようにすることがほんとうの意味での勝つということだ。昨日よりも今日、今日よりも明日、ビジョンに一歩でも近づくことが本来の企業活動なのである。
  この事を忘れて、目先のマーケットシェア争いや、売上向上にばかり気をとられていると、まったく想像もしなかったようなベンチャー企業等にマーケットそのものを奪われてしまうだろう。
  事業における成功とは、社会に価値・感動を提供し続けられる企業になることにほかならないのである。
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