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相互支援組織の作り方
第3回
企業は成長するほど内部崩壊する
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■企業をむしぱむ利益追求

 官僚を巻き込んだ企業の不祥事が毎日のようにマスコミをにぎわしている。なぜこうも世の中で不祥事が絶えないのであろうか。
  その根本的な理由は、企業の活動目的は利益を出すことと思っている人々がいることである。この利益追求第一主義が、企業に、そして社会に大きな災いをもたらしている。
  企業が利益を優先すれば、その利益をもたらしてくれる顧客を優先するようになる。したがって、接待だ、ときには賄賂だというように、本来やるべき仕事とはほど遠い行動に走る。確かにそれによって目先の利益を生むことはできるかもしれないが、そのために膨大な時間と労力が注ぎ込まれ、本来やるべき企業としての活動、つまり社会的価値の創造が遅れることになるのである。
  しかしながら、そのことに気がつくのは売上げが落ちたときだ。そのとき初めて時代変化や、環境の変化を知ってびっくりするだろう。グローバルスタンダードからかけ離れた実態の中であえいでいる我が国の金融機関などは、まさにそのよい例だ。利益が出ていることで、環境変化に対して関心を持たなくなってしまった結果である。
  また、利益のみの追求は必然的にバブル経済に向かう。営業利益だろうが、営業外利益だろうが、どちらにしても利益が出れば経常利益は膨らむ。しかしここが落とし穴。営業外利益の増大は、本質的な企業力によるものではない。営業外利益だろうが何だろうが利益を生むことが経営だ、という経営者もいるが、それは経営の本質から外れた見方にすぎない。
  バブル経済時代は、楽に営業外利益を出すことができた。土地でも株でも投資すれば、ほぼ確実に大きな利益を得ることができたのである。そして、みんなが経済の実態とはかけ離れたマネーゲームに走る。しかし、その結果、企業から社会的価値創造の意欲は失われてしまった。わずかな利益のためにリスクを負って新たな事業に取り組んだり、顧客に手間暇かけたりすることは、賢い経営ではないように感じた経営者が多かった。
  そうなると現状を改善する意欲は企業の中から消え失せてしまう。楽に利益が出せるのだから、何も改善する必要がないのだ。
  もちろんそこで働く社員も何も考えようとしなくなる。今やっていること、言われたことさえ、ミスのないようにうまくやれれば報酬は増えていくからである。
  こうして企業はその創造的活力を失ってしまう。企業は利益を追求するあまり、その単純な発想によって本質的な活力を失い、知らぬ間に崩壊の道を突き進んでいく。
  最大のリスクとは目先の利益に走ることなのである。
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■企業は成功するがゆえに崩壊する

 1181年、平清盛が没し、平家の末路が決定的となった。平家は栄華を誇ったがゆえに崩壊した。何不自由ない思いのままの生活の中で、彼らは生きる活力を次第に失っていった。人間は満たされるほど変革を嫌い、いまの状態が続くことを願うものである。何でもうまくいくことは、人間の心におごりを生む。おごりは人間をその精神から弱くしてしまう。一方、源頼朝、義経、木曽義仲など厳しい環境の中で育った源氏の勢いはとどまるところを知らなかった。彼らには源氏再興のビジョンがあった。境遇は最悪であったかもしれないが、そのビジョンは彼らに生きる勇気と行動力を与えるにあまりあるものであった。
  人間社会の歴史の中で、栄枯盛衰はまるで法則のように繰り返されている。現代においても、企業の成長と衰退はその例外ではない。企業に寿命があるというのは、そこで働く人間の意識の変化がその原因である。
  企業は成長に伴ってそこで働く人々の心におごりを生むことになる。企業の衰退の原因の一つは、このおごりにある。
  中小企業の経営者向けセミナーで、私はいつもこう言つている。
「企業において最も変革の難しい時がうまくいっている時であり、最も変革が易しいのがうまくいっていない時である」
  売上げを目的にしている企業は、売上げが上がったときほど改善、変革ができなくなる。いまのやり方が正しいと思い込んでしまい、同じ事を繰り返そうとするからだ。仮に、将来的な危機感を持ったとしても、売上げがあがっている方法を変革していくには、大変な労力を要する。
  それこそ、「変革してさらに売上げが大きくなるという保証はどこにあるのか、もし変革して売上げが落ちたとしたら誰が責任をとるのか」など、企業の中は大混乱になるだろう。確かに将来の成長が保証された変革などはあるわけはないし、変革は一時的に数字上の後退になる場合が少なくない。
  しかし、世の中は毎日変化している。株価や通貨レートは毎日変わり、売れる商品のサイクルもどんどん短くなってきている。昨日と同じ今日はないし、今日と同じ明日もない。企業は変革の波の中で存在している。このことを忘れて私たちは企業の成長を考えることはできないはずである。
  事業においておごりは大きな失敗要因である。過去の成功が自信過剰につながり、「自分の考えが正しい」「自分のやり方で必ずうまくいく」「自分は誰よりも物事がわかっている」といった錯覚を引き起こす。残念なことにこの錯覚を本人が気づくことはなかなかできない。どんなに適切な相手のアドバイスでも、自分に対する中傷に聞こえたりする。もう、こうなるとどうにもならない。相手がこちらのために考えてしてくれたことでも、自分が批判されたような気になってしまう。たとえ自分の考えでやって失敗したとしても、何かの間違いくらいにしか感じなくなってしまうだろう。こうしておごりは改革を遅らせるばかりでなく、判断をも誤らせてしまう。
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■安定を目指す企業ほど安定できない

 ある業界トップ企業の社長とお話ししたときのことである。
  新しいシステムを開発し、既存の分野に参入した。そして大変な苦労をしながらも成長を続け、そしてとうとう二年前、創業18年目にして圧倒的な業界のリーディングカンパ二−になった。それまでは毎日が戦争のようで、社員全員が一喜一憂していたという。知恵と努力で勝ち得た勝利であった。
  ところが、その後企業の活力は失われ、成長もぴたりと止まってしまった。社長はこう言つた。
「二年前までは競合他社があった。にもかかわらず、企業はどんどん成長していった。しかし、競含他社がなくなり思いどおりのビジネスができる環境になったというのに、この二年間はほとんど成長していない。新しい企画も社員から上がらなくなってしまった」競争に勝つことが企業を弱体化させてしまった。
  また、店頭公開したベンチャー企業のいくつかが、店頭公開した直後から経営不振に陥るといったことが起きている。それまで破竹の勢いで伸びてきたはずの成長企業が、一つの目的を達成したと同時に業績が悪化するのである。
  店頭公開を目的にし、そのためにすべてをかけてきた企業ほど、その目的を達成したときに、そこで働く人々は意欲を失ってしまう。一つの目的を達成したときに、その先に次の目標がないと私たちは安心感に満たされ努力を怠ってしまうからである。
  安定を目指して事業を行っている企業が非常に多い。しかし、激変する社会環境の中で、事業に安定などはない、変革し続けた結果、安定していたということがあるだけだ。にもかかわらず、わずか数年間の企業の安定成長によって、これからもずっと安定成長していくと思い込んでしまうのである。そして安定成長という意識がそこで働く人々に安心感を抱かせる。
  安心感は変革に対して消極的な思考を生む。今のままでうまくいっているのだからという気持ちが、新たなことにチャレンジしていこうとする気持ちを打ち消してしまう。変革やチャレンジには多くのエネルギーが必要だ。中途半端な気持ちでやったとしても、そう簡単にうまくいくものではない。安心感に満たされた人は、そんなめんどうな変革などに関心はなくなり、今の状況を維持していくことしか頭にはなくなる。
「企業を成長させていくためには、改善向上しなければならないということはよくわかります。だけど、自分だけがんばっても無理でしょう。上司や他の人がみんなでやらなければ……」
  これは消極的な姿勢から出てくる典型的な発言である。私はこんなセリフを何度聞いたかわからない。
「みんながやるなら私もやる」という考えを持つ人ばかりが集まったのでは、結果誰もやらないために企業は衰退してしまう。企業が変革に積極的となり成長していくためには、「みんなはやらなくても私はやる」という自発的な考えを持つ必要があるのだ。
  毎日変化する社会で生きる私たちにとって、安心感は百害あって一利もないものなのである。
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■企業の将来は個人の意識で決まる

 企業に将来性があるかないかは、その企業で働く人々の意識で決まる。売上げを目的としている企業は残念ながら、売上げが上がったときに衰退する運命にある。そのとき、人々の心は緊張からおごりと安心感へと変化している。この意識の変化が企業を衰退へと導く原動力になるのである。変革は強い意志、すなわち創造的な緊張感によって生まれるものだ。あらゆる変革、成長はこの緊張感なしには考えることはできない。
  では、どうしたら創造的緊張感を維持していくことができるのだろうか。そのために必要なことは、企業が常に高い目標を持って活動していることである。その目標とはもちろん、社会に価値・感動を提供することだ。社会的価値の追求は無限のチャレンジである。ここまでやればいい、というレベルがあるわけではない。顧客は一度感動したものでも、二度目にはもう新たな感動を求めてくる。企業活動とは価値・感動の創造という果てしない目標に向けて走り続けることであり、だからこそ企業内に創造的緊張感を維持していくことができる。その結果として売上げが上がり、企業が成長するのである。
  企業は売上げを上げる、成長することを目標とするのではなく、社会的価値・感動の創造を目的としなければならない。企業とはどこまで成長しても未完成なものである。そういう企業でこそ個人が緊張感を失うことなく成長し続けることができ、その結果として企業も成長するのである。
  企業が成長することを目的とすると、企業の成長と相反するように、個人は成長を止めてしまう。企業の活動目的を社会的価値・感動の創造にすれば、個人は常に緊張感の中でチャレンジし続け、結果として企業は成長し続けることができるようになるのである。
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